こんにちは。
技術部のYです。
最近、世界的な半導体不足というニュースをよく耳にするかと思いますが、皆様のまわりでは何か影響はありますでしょうか。
自分の身のまわりではあまり感じない。
そういった方もおられるかと思いますが、実は皆様が普段使われている電化製品などに半導体は使われています。
例をあげると、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、パソコン、スマートフォン、タブレット端末、インターネット機器、掃除機、湯沸かし器、車、などさまざまなものに半導体チップが使用されています。
これを聞いて皆様はどう思われますでしょうか。
恐らく、他人事ではないと感じられるかと思います。
そうです、他人事ではありません。
半導体が不足すると、さまざまな電化製品の生産が減り、後々は価格の高騰、品不足、などが起こりえる可能性もございます。
実際、2021年上半期にはメーカーにも打撃を与え、フォルクスワーゲン、トヨタ、ホンダ、スバル、日産などの大手自動車メーカーが各社そろって減産を発表しています。
弊社でもPCやサーバ、ネットワーク機器などを取り扱っておりますが、お客様からの要望はあっても、
・「機器の納期が未定」
・「希望の機器を提供できない」
・「納期が遅れる」
などが増えており、身近に体感する事もしばしばです。
ではこの半導体不足、何が原因で起こっているのかというところですが、
主な要因のひとつに「新型コロナウィルスの流行後の半導体不足の需要が高まった事」が挙げられます。
巣ごもりが増え、各家庭でもご自宅の電化製品を新調したり、新しく電化製品を購入したところも多いのではと思います。
メーカーはコロナウィルスの流行に伴い、半導体の生産や注文を抑制していましたが、市場の急速な回復もあり、より半導体不足に拍車をかけています。
ふたつめに「半導体工場の操業停止」が挙げられます。
2021年4月に台湾のTSMCの半導体工場で火災が発生し、当初3～4か月程度で火災前の生産能力への復旧を目指していたようですが、消失の度合いが予想以上に酷い事から、建て替えや移設なども検討されており、こちらも半導体不足に大きな影響を与えています。
半導体市場動向会社のアメリカIC Insigtsの國・地域別の半導体生産納力調査(2019年）によると、1位 台湾(22％) 2位 韓国(20.6％) 3位 日本(16%) 4位 (14%) 5位 北米(12.8％) 6位 ヨーロッパ(5.8％) 7位その他(9%)となっており、
2022年には中国が2位にが上がり、日本は4位になると言われています。
これを踏まえて日本政府は、2021年の半導体の緊急許可パッケージの財源として、経済産業省の2021年度の補正予算案に7740億円を計上する報告で最終調整に入り、半導体の国内生産拠点確保や研究開発の促進に集中投資すると関係者が明らかにしたようです。
国内生産拠点の確保には6170億円を充て、新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）に新たな基金を設置し、認定を受けた半導体の生産基盤整備計画に資金補助を行う。補助率は50％で複数年度をかけて交付予定。
半導体世界大手の台湾積体電路製造（TSMC）が熊本県に新設する工場が最初の認定対象となる公算が大きいとされています。
半導体、マイコン、パワー半導体などが逼迫（ひっぱく）すれば国民生活への影響や経済的損失も大きいですが、日本の国際競争力低下に伴い、閉鎖に追い込まれる拠点も多くなる為、安定供給の確保が特に重要なこれらの半導体の製造設備を対象に、更新や増設も後押しするようです。
半導体は「産業のコメ」といわれ、米中が覇権を争う経済安保の分野で最重要の戦略物資に位置付けられていますが、日本の世界シェアは近年10％程度まで低下しており、国内需要の6割超を台湾や中国などからの輸入に依存している事も問題となっています。
このように身近に起こっている事半導体不足は、実は国際情勢にまで発展する程の重要なニュースなのです。
今後も日本での生産が増える事が望まれますが、まずは国の政策を注視しながら、皆様も身の回りの変化に気を付けてもらえればと思います。
ご拝読ありがとうございました。
参考サイト
IT media NEWS
政府、半導体生産強化に7740億円計上へ – ITmedia NEWS
Tech
世界の地域別半導体製造能力比率、首位は台湾、日本は3位 IC Insights調べ | TECH+ (mynavi.jp)
TSMCのファブ12Bで火災が発生、出火元はクリーンルーム外の変電施設 | TECH+ (mynavi.jp)
Rentec Insight
世界的な「半導体不足」 その原因と今後の展開を考える｜IT Insight｜Rentec Insight｜レンテック・インサイト｜オリックス・レンテック株式会社 (orixrentec.jp)